Headache
頭痛外来
頭痛の種類
片頭痛
頭痛外来にお越しになる患者様で最も多い疾患です。20~40歳代の若い女性のかたに多いと言われていますが、お子様でも男性でもみられます。「片頭痛」には「片」という字がついており、片側にしかおこらない頭痛のようなイメージですが、両側が痛むこともよくあります。
「片頭痛」と聞くと軽く捉えられがちですが、実際には頭痛のせいで学校や仕事を休んだり、趣味や外出を避けるようになったりと日常生活に大きな影響をきたす、れっきとした病気です。
動くと痛みがさらに強くなり、光・音・においに敏感になります。ひどいと吐き気や嘔吐を伴うこともあり、しばしば寝込むこともあります。天気の悪い時や気温の変化、人混み、ストレス、ストレスから解放されたとき、寝過ぎ、寝不足、飲酒などが頭痛の誘因になることがあります。
また、頭痛が起こっていない時でも、いつ頭痛が起こるかわからない不安や、周囲に理解してもらえないつらさを感じていらっしゃるかたが多いのも事実です。
月経前~月経中、排卵期にも頭痛が起こるかたがいらっしゃいますが、それは「生理痛」ではなく「片頭痛」です。また片頭痛のかたは首や肩の凝りを伴うことが多く、肩こりが原因の「緊張型頭痛」と診断されてしまうことがあります。「片頭痛」と「緊張型頭痛」では対処法が異なりますので、注意が必要です。
片頭痛には頭痛発作の前兆として、視野の一部がキラキラ・ギザギザして見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状を呈するかたがいらっしゃいます。これは一過性で頭痛が始まると消失します。
緊張型頭痛
一般的には最も多い頭痛です。
いわゆる「肩こり頭痛」で、後頭部などの筋肉のこわばりから生じます。
締め付けられるような鈍い痛みで、片頭痛のような嘔吐や寝込むことまではありませんが、毎日続くこともあり、厄介に感じられる事もあります。
持続した同じ姿勢や運動不足、ストレスなどが原因とも言われています。
首や肩の凝り、ふわふわするような浮遊感を伴うこともあります。
片頭痛とは対処法も治療法も異なります。
群発頭痛
片側の目の奥からこめかみにかけて起こる、目をえぐられるような激しい頭痛で、頭痛と同じ側の目から涙が出たり、鼻が詰まったりするのが特徴的な頭痛です。
片頭痛が動くと痛みがひどくなるのに対して、群発頭痛は落ち着きのない様子でじっとしていられないのが特徴です。
頭痛発作は2日に1回~1日に8回、頭痛の持続時間は15分〜3時間程度で、しばしば夜中の決まった時間に起こることがあります。
喫煙、飲酒する男性に多くみられます。この頭痛が1,2ヶ月毎日の様に続くと、そのあと頭痛は治まりますが、数年後また集中して発症するため「群発頭痛」という名前がついています。
病態については諸説ありますが、まだはっきりとわかっていない部分もあります。
現在では、一部の片頭痛の治療薬や酸素療法が有効とされています。
神経痛(後頭神経痛、三叉神経痛)
後頭神経痛は、片方の後頭部のズキッとした間欠的な痛みが特徴的です。頭皮を触ったり、ブラシで髪をといたりしても痛みを感じます。
肩こりによる筋肉の圧迫やヘルペスウイルスなどが原因といわれています。
三叉神経痛は片方の顔面のズキッとする痛みで、脳血管や脳腫瘍が三叉神経を圧迫することが原因とされていますが原因がはっきりしない事もあります。
食事や歯磨きなどがきっかけで痛みが誘発されることがあります。
いずれの神経痛も鎮痛剤はあまり有効でなく神経痛に特化した治療薬を用いることがあります。
急性副鼻腔炎
いわゆる「蓄膿」です。風邪や鼻炎のあとしばらくしてから起こることが多く、頭を下げるとズキズキする頭痛が特徴的です。
膿が貯まっている副鼻腔の部位によっては、鼻汁や鼻づまりなどの症状は認めないこともよくあります。
レントゲンで診断がつきにくい場合でも、CTやMRI検査でよくわかります。
薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
頭痛薬を飲み過ぎると余計に頭痛がひどくなる場合があります。
これを「薬物使用過多による頭痛」と言います。
以前は「薬物乱用頭痛」の名称も用いられていましたが違法薬物の乱用とは異なります。
- 頭痛が1ヶ月に15日以上ある
- 頭痛の鎮痛薬や頭痛薬を3ヶ月以上服用している
- 早朝に頭痛が起こるなど、頭痛の頻度が増えている
- 頭痛発作に対する不安から予防的に鎮痛薬を服用している
これらの項目が当てはまるかたは「薬剤使用過多による頭痛」の疑いがありますので適切な対処が必要です。
このような状態が続くことでさらに頭痛は増え、さらに薬も効かなくなってしまいます。
その場合、頭痛の原因となっている薬の中止、頭痛の予防薬の服用、急性期治療薬の変更を検討する必要があります。
危険な頭痛
くも膜下出血、脳腫瘍、脳出血、髄膜炎、脳炎、慢性硬膜下血腫などといった病気は直ちに治療が必要で、場合によっては命に関わることがあります。
特に「くも膜下出血」はバットで頭を殴られたような強い痛みが突然生じ、嘔吐を伴い、意識を失うこともあります。当院で診断が確定した場合は、すぐに手術可能な基幹病院の脳神経外科に救急搬送いたします。
そのほか、突然の片側の後頭部痛として発症し持続する「椎骨動脈解離」や、入浴やウエイトトレーニングなど負荷のかかる行為が契機になって突然の激しい頭痛で生じ、頭痛を繰り返す「可逆性脳血管攣縮症候群」は通常CTでは発見できず、MRIで血管の状態を含めて精査してはじめて診断できることがあります。